大阪地方裁判所 平成元年(わ)1344号 判決 1989年11月24日
本店所在地
大阪市中央区東平二丁目五番四号
ワールド開発株式会社
(右代表者代表取締役 石田晴夫)
本籍
大阪府松原市上田八丁目五番
住居
大阪市住吉区我孫子二丁目四番一一号
会社役員
石田晴夫
昭和二四年一二月二七日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官山田廸弘出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人ワールド開発株式会社を罰金八〇〇万円に、被告人石田晴夫を懲役一〇月に処する。
被告人石田晴夫に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
訴訟費用は、その二分の一ずつを各被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人ワールド開発株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪市中央区(当時南区)東平二丁目五番四号に本店を置き、不動産の売買仲介等を目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人石田晴夫(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、仲介手数料収入の一部を除外するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年八月一日から昭和六二年七月三一日までの事業年度における実際所得金額が一億三二〇〇万四七〇円あった(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年九月三〇日、大阪市中央区(当時南区)谷町七丁目五番二三号所在の所轄南税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六一九万七八一九円で、これに対する法人税額が一四二四万二七〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額五四四八万円と右申告税額との差額四〇二三万七三〇〇円(別紙(二)税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書
一 被告人に対する収税官吏の質問てん末書一五通
一 野尻兌、宮崎文孝及び山田政義の検察官に対する各供述調書謄本
一 野尻兌(六通)、宮崎文孝、倉橋幹雄、福田康生及び山田政義(二通)、西澤明夫(二通)、金玩哲、羽馬由香里、平山輝子、岸上豊、白徳一、岡崎辰朋、堀川尊雄及び石田和美(二通)に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の査察官調査書二二通
一 検察事務官作成の電話聴取書
一 南税務署長作成の証明書
一 大阪法務局登記官作成の登記簿謄本及び閉鎖登記簿謄本
(法令の適用)
被告人の判示所為は法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中懲役刑を選択し、その所定刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人の判示所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示の罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、その金額の範囲内で被告会社を罰金八〇〇万円に処し、訴訟費用については、刑事訴訟法一八一条一項本文によりその二分の一ずつを各被告人に負担させることとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 三好幹夫)
別紙(一)
修正損益計算書
(ワールド開発株式会社)
自 昭和61年8月1日
至 昭和62年7月31日
<省略>
別紙(二)
税額計算書
ワールド開発株式会社
<省略>